DIYで農機具小屋を建てよう——そう思い立ったのは去年のことだ。完成も去年中に済ませたが、振り返れば失敗はいくつもあった。
今回は、その第1回目。「節約して作ろうと思ったら、高く付いた!」という話である。
実家では親父殿の趣味で農業が細々と営まれている。畑の片隅には築20年以上の古びた農機具小屋があり、老朽化も進んでいたため建て直すことにした。そこで安易に考えたのが、「廃材を利用すれば安くなるのでは?!」という発想だった。
しかし結果は、想定を上回る出費。20万円以内に収まるハズが、30万円を超える金額になってしまった。プロにお願いすると80万円くらいはかかるようなので、それよりは安かったけれど。
解体の手間、規格の不一致、使えない劣化材、そして結局の追加購入——。
この記事では、当初想定したコストと実際にかかった費用を具体的に示しながら、廃材再利用が本当に節約になるのかを検証していく。
これから小屋DIYをしようとしている方の一助になれば、幸いである。
廃材利用は本当に節約になるのか?
計画と甘い見積もり
「少しのことにも、先達はあらまほしきことなり」(徒然草「仁和寺にある法師」より)
思わず、古典を思い出してしまったが、実際に素人想定とは大きく狂うのDIYの醍醐味(違う)といえる。
小屋の構造は、ザックリ説明すると、単管の骨組みにトタンの屋根、壁を付けて、床部分は大根太を並べてその上に板を打ち付ける感じに決定した。
廃材を利用するという構想と、立地として畑に隣接する斜面に建てるという理由から、これが適切だと思ったのだ。SketchUpという無料で使える設計ツールでこんな絵をザックリ描いて材料を算出。

これを見ただけで「決まってない部分が結構あるよね」と思える人は多分、素人ではないのだろうね。
ついでに、想定経費と実際かかった費用をザックリ表にしてみた。
| 部位 | 想定概算金額 | 実費概算金額 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 構造材料 | 30,000 | 96,000 | +66,000 |
| 屋根材料 | 50,000 | 70,000 | +20,000 |
| 床材料 | 40,000 | 74,000 | +34,000 |
| 壁・扉材料 | 25,000 | 36,000 | +11,000 |
| その他 | 10,000 | 50,000 | +40,000 |
| 合計 | 145,000 | 326,000 | +181,000 |
うんまあ、言いたいことは分かるよ。
一番狂ったのは構造材料
表を見て頂ければ分かると思うが、想定が145,000円で、実費が326,000円(実はもう少し数万円程度は足が出ているがこれは別途言及する)で、差額181,000円と倍以上である。
何故ここまで想定が狂ったのか?は、差額の一番大きい「構造材料」の部分に依るところが大きい。
別の記事で紹介しているが、老朽化した農機具小屋の移転先に選んだのが単管製のブドウ棚の下である。
単管は、大工さんの伝手で足場に使っていたモノを貰った関係で当初から錆びていたんだけど、棚は寸法を出して斜面に打ち込んでしっかりと立っていた。これを「使える」と思ったのが始まりだったんだよね。
結果から言うと、この判断は失敗だったんだけど。
つまり、計画が狂った理由は以下の3点。
- 手持ち単管があるから足りると思った → 全く足りなかった
- クランプは最低限で済むと考えた → 単管が増えた結果こちらも追加に
- 補強は後から木材で壁を付けることで行える思った → 無理だった
これが全部甘い考えだったので、3倍以上の構造材料96,000円となる結果に。
細かい理由は別の記事に譲るつもりだが、簡単に説明すると、構造設計が甘かった為にこんな話になっちゃったんだよね。
構造変更の連鎖
ザックリ、構造材料のコスト増になった理由を説明するが、こんな構図である。
- 補強 → 重量増
- 屋根重量増 → 柱追加
- 柱追加 → 床構造変更
- 根太を抱かせるため構造材増加
一つの補強が、別の弱点を生み、その対処がさらに別の設計変更を呼ぶ悲しい事態に。
具体的には、素人工作の悲しさから設計段階で全て完結させてしまわずに、構造概要が決まった段階で、必要な材料を洗い出して予算を組んだ。そして「じゃあ、実際にこの想定が成り立つかどうか」を確認するために、骨組みとして単管を組んでみたんだよね。
手持ちのクランプで単管を組み立てていく。
ここで最初の誤算に気付くことに。
つまり、ブドウ棚用に既に打ち込まれている柱を一部流用する想定だったのだけれど、柱が等間隔で並んでいなくて、完全に芯が出ているわけでもなかった。大体は合っている。しかし「大体」は構造では通用しない。
奥行き2000mm×小屋幅5460mmの床面積。
6本打ち込まれて立っている柱を流用したために床面積は必然的に決定され、小屋幅は屋根の都合で決まった。詳しくはこちらの記事を参照して欲しい。
ともあれ、単管だけで小屋の形にした。
この段階で、立っている柱を掴んで揺らすと、揺れる揺れる……。思った以上に揺れた。
つまり、剛性不足が発覚。クランプを使った場合の構造強度は計算で出せるんだけど、実際に強度が出るかどうかはまた別。慌てて揺れない程度に屋根の幅方向と奥行き方向に単管を足し、床の幅方向に単管を足した。ついでに壁の幅方向にも単管を増やした。
以下が活躍した直行・自在クランプとシノ付きラチェットである。
これである程度の揺れが収まって満足だったんだけど、屋根構造を大幅に強化したと言うことは、重量増に繋がるんだよね。
で、計算し直し。結局、当初6本だった柱では構造強度が不足するので、更に5本の柱を足す必要があるという結論に至った。
それでも廃材で抑えた…はずだった
だけど、この構造変更の余波は別のところにも波及することになる。
柱を「足せばそれで終わり」ではなかったのだ。
柱を増やすということは、床下のスパンが変わり、根太配置を組み替え、支持方法を再設計することを意味する。
根太は構造材に抱かせる形へ変更。そのための構造材も追加。
そんな事情から、最初は3万円で済むはずだった構造材料は、最終的に96,000円に膨らんだというわけだね。
この他にも、壁・扉材料の費用増加は然程大きくなかったのだけれど、ここが膨らまない代わりに、「その他」が膨らんでいる。トタンを塗った話はこちらに紹介した。
つまり、屋根のトタンは全て新品にしたのだけれど、壁のトタンは錆びている既設の小屋から剥がして流用。その結果、さび止め作業とペンキ塗り作業、そしてそれに使う道具を一式、その他細々としたもの買う羽目になったのだ。
それも、表も裏も塗ることになった。それが「その他」が10,000円から50,000円までに膨らんだ理由だ。
後は、最初から買っておけば良かった!と後悔したのは丸のこだ。
現場で、木材のサイズを調整するにはどうしても必要になる。詳細については次回以降に紹介していく予定なんだけど、農業小屋のような大物を作る予定の人は、最初に迷わず買うべし。
迷うだけ時間の無駄だ。これが、途中で「足が出ている」と書いた理由である。
まとめ
手間と時間をかけるのがDIYの醍醐味ではあるんだけど、想定以上にコストも時間もかかるという展開はお約束でもあり、そこが楽しい部分でもある。
でも、最初から見えている地雷はあえて踏む必要はないのだ。
特に、廃材前提で設計し構造変更からの費用増加の連鎖はかなり厳しかった。ホームセンターを賢く使って、買い揃えられるものは買い、現場での計画変更は最小限に留める方が、効率も良いし綺麗に出来上がる。
手持ちの単管でかなり節約できるはずだったんだけど、そうはならなかったよというのが今回のお話である。
まとめ記事に関してはこちら。
→ 【農機具小屋DIYまとめ】素人が設計から施工までやってみた|総費用と失敗例を公開
DIYをしたことがない人が始める時にはこちら。
→ 【DIY木工】最初に買うべきもの、後でも良いもの








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