事務所でPC関連の仕事もしているという話は、このブログでも何度か書いていると思うのだけれど、小さい事務所ながら大体週に1度くらいはトラブルに行き当たる。
大抵は単純なトラブルで終わるんだけど、時々、厄介な出来事に行き当たることもある。
本日はそんな話。
なお、こちらが本日の主役である。
そう、Quadro君だ。
トラブルがトラブルを呼ぶ展開
唐突に発生するNASトラブル
NAS(Network Attached Storage)に関する記事は、前回書いたよね。

社内で使っているNASは、ルートHUBにぶら下がっているツールである。

イメージ的にはこんな感じだが、実際にはもっと多数のHUBで多段に接続されている。個人的には一度整理したいのだけれど、建て増し旅館的に改造しているので、修正するのが結構大変なんだよね。
さておき、ネットワークにぶら下がっているパソコンのうち1台がネットワークに接続出来なくなった、というのが今回のトラブルの発端である。
トラブルの起きたPCユーザーはCAD担当で、AUTOCAD(2D-CAD)とSOLIDWORKS(3D-CAD)を使っていて、データをNASに保存しようとしたら繋がらないという事態を把握し、トラブル解決を求められたという話。
初手、Ping
この手のネットワークトラブルで、最初にやるのはコマンドプロンプト(今はPowerShellだね)を開いて、Pingを打つ作業である。

ここにPingコマンドで、NASのIPアドレスを打ち込んだが……、タイムアウト。ルーターのIPアドレスを打ち込んだが……、タイムアウト。
こ、これは。
「ping 127.0.0.1」で試す(自分自身にpingを打っているので、一番近いHUBを介して信号が帰ってくる)と、正常に反応が返ってきた。

ふむ。次に「IPconfig」コマンドも試してみたが、問題なく情報が表示される。
そうすると、つまりネットワーク設定に問題がなく、PCに繋がっているLANケーブルにも問題ないという意味になると思う。
隣のPCには問題がない
ここで困ったことに、隣のPCの状況を見るとトラブルは発生していないのである。隣のPCからは、ルーターもNASも見えるしネットワークに繋がるプリンターも見える。
そうすると、トラブルのあるPC本体を疑わねばならなくなる。
現時点で分かっている状況
- トラブルのあったPC1:NASに接続不能、プリンタに接続不能、ルーターに接続不能
- 隣のPC2:ネットワーク環境は正常
- PC1とPC2に一番近いネットワークHUBは正常
話がややこしくなるので、トラブルのあるパソコンをPC1、隣のパソコンをPC2、一番近いHUBをHUB1としておく。
セキュリティソフトを疑う
次にやったのは、セキュリティソフトを疑う作業だ。
使っていたのは ESET の製品で、社内のPCには大抵コレがインストールされている。
ところがこの手のソフトは、セキュリティの観点から簡単に停止できないことがある。しかも、停止や除外設定をしようとしてもパスワードが要求される。
で、設定しているハズのパスワードを入力したのだが……、そのパスワードが通らない。管理者側から設定を見直そうにも、肝心のネットワークに繋がらないので無理。
つまり、切り分けしたいのに切り分けできない。なかなか嫌な状況である。
そこで、セーフモードで起動して、ネットワークとESETを切り離そうという話になった。
セーフモードでの起動とは、パソコンやスマートフォンに問題が発生した際、必要最低限のシステムファイルとドライバー(基本的な機能)だけで端末を起動する診断用の起動方法である。
セーフモード機能不能?!
Windowsには、セーフモードというモードが用意されていて、コレを使うためには幾つか手順が用意されている。一番有名なのはShiftキーを押しながら再起動をする方法なのだが、それを試してみたら画面が真っ暗。
……PCは起動しているみたいだぞ?
画面が表示されないという不具合に出会ってしまった。
ディスプレイの接続問題
慢性的な問題
ここで、PC1に発生していた問題を思い返してみたのだが、幾つか問題があったことを思いだした。
- 幾つかのネットワーク系のソフトが使えない
- 3D-CADを起動してパーツ数の多いアイテムを表示しようとすると、「メモリ不足警告」が出る。
- 2D-CADと3D-CADの両方を起動すると、動作が遅く感じることがある
今回、関係しそうなトラブル原因は、ネットワーク系のソフトが使えない問題。恐らくは、セキュリティソフトが悪さをしているという問題だ。
で、ESETを起動させない為には、不具合の切り分けができるセーフモードでの起動が必要。ここで正常に動けば、原因は「後から入れたアプリやドライバー」だと特定できるわけだ。
この「後から入れたアプリやドライバー」というところが、個人的には「画面が表示されない」という現象に発生の原因になっているのでは?と思い至る。
ディスプレイの接続問題発覚
で、この手のトラブルが発生した場合、最小構成で起動がトラブルの切り分けに必要である。
現状、ディスプレイは2枚繋がれているので、これを1枚にすれば……。
……ん?
違和感が。
どうして、ディスプレイの接続がマザーボード側のコネクタに接続されているのか??

PC1には、3D-CADを動かすために、グラフィックボード(Quadro)を追加して表示機能を強化している。だから、本来なら、グラフィックボードに設けられた出力コネクタにディスプレイケーブルが接続されていなければならない。

ところが、現状はマザーボード側の出力コネクタにディスプレイケーブルが繋がっている。
こ・れ・か!
Quadro搭載なのに
この話、抱えていた問題の2番目と3番目に影響していた可能性が極めて高い。その上、「セーフモードで画面真っ暗」の答えにも繋がるのである。
つまり、「Quadro搭載なのに、その性能をほとんど活かせていなかった」という衝撃の事実が発覚。
ガッカリの展開である。
なお、差し替えればそれで終わると思いきや、実はQuadroのポートはMini MDMIなのでケーブルがない。
そこで Amazon で注文し、月曜日到着待ちという展開に。原因は分かったが、部材がないというIT現場ではありがちな、分かってからが長いパターンである。
ネットワークトラブルは別ルートで解決
なお、NASに繋がらなかった件は、別のトラブルから判明。
結局のところ、途中に挟んでいたHUBの電源が落ちていただけだった。しかも、そのHUBにつながる無線LAN機器はLAN給電タイプで、こちらも巻き添えで停止していた。
そのため、無線LANに繋がらないノートPCユーザーからクレームが出て、ようやく発覚したという、なんとも間の抜けた話だった。
では、隣のPC2はなぜ正常に使えていたのか?という話なんだけど……、PC1に繋がるHUB1とは別系統のHUB2に繋がっていたというオチ。これが、原因となったHUB3を介していなかったために、正常作動していたというわけ。
なんとも間抜けな話である。
ようやくQuadroを正しい端子に接続した
そして本日、注文していた mini HDMI ケーブルが到着。Quadro 側へきちんと接続し直して、セーフモードでも無事に画面が表示されることを確認した。
そのうえで、普段使っている人が休みだったため、高負荷の3Dモデルまでは十分に試せなかったが、タスクマネージャーを確認する限り、GPUにもきちんと負荷がかかるようになっていた。
ドライバもこの機に更新している。
結果として、長らく続いていたCADの遅延問題も解消した。部品点数の多い3Dモデルも、動くことを確認。
タスクマネージャーでメモリの占有率を確認
タスクマネージャーで確認してみると、高負荷運転するとGPU側のメモリはおよそ5GB程度使っており、RAM側は3GB程度しか余裕がなかった。つまり、もともとかなりカツカツの構成だったのだろう。
GPUが使えていない状態では、描画や処理の負担がRAM側に寄っていた可能性が高い。それなら、メモリ不足の警告が出る状況が発生していたのも納得がいく。
要するに、
- NAS障害を調べていた
- ネットワークの配線ミスが見つかった
- その流れでセーフモードに入った
- そこで、Quadroがまったく使われていないことが判明した
- 接続を直したら、CADの重さも改善した
ということになる。
トラブル対応のはずが、別の問題を解消するきっかけになった。
結果だけ見れば、かなり実りのある障害対応だったのかもしれない。
まとめ
今回の教訓は単純だ。
グラフィックカードを採用したGPU搭載PCでも、ケーブルの挿し先が違えばGPUは動かない。
え?当たり前?
いやそりゃそうなんだけど、今回は画面自体は普通に映っていたので、気づくのが遅れた。さらに、ネットワーク障害のような別件が絡むと、調査はなおさら迷走する。
結局、今回の件は「NAS障害」でもあり、「CADの性能問題」でもあった。そして両方の裏にあったのは、どれもこれも、現場でありがちな“物理層のうっかり”だった。
間抜けな話ではあるんだけど、案外気が付かないんだよね。

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